津嘉山大綱曳き/作業記録6月1日

津嘉山大綱曳き

2024年6月1日(土)。この日は昼から装飾物を作る作業がありました。津嘉山大綱曳きでは大綱関連の全てのものが新しく作り替えられます。男性が主体となって旗頭・道具・カナチ棒・大綱などを作りますが、それに加えて旗頭周りの装飾物や、各種道具の装飾物も全て新調されます。その重要な役割を担うのが女性の方々です。今回は女性が担当する装飾物製作の様子を取材してきました。

【西】それぞれ役割分担をしながら作業を進めている様子。

装飾物製作のこれまでの経緯

女性が主体となる大綱関連の装飾物製作は4月から始まっており、男性が主体となる旗頭製作などと比べて、かなり早い段階から動きがありました。
大綱曳きは21年ぶりということもあって、製作の流れを知っている人が少なく、まずは東西の女性が津嘉山地域振興資料館に集まって、合同で製作の流れを学ぼうという機会を設けました。

この合同での作業を経て、今回から東西に分かれて、それぞれ個人宅での作業も開始しました。

各種道具の飾り製作

既に仕上がっている装飾物を見せてもらいました。
鉦鼓隊用の太鼓・大ボラ・バチ用の装飾物(写真左)、流し旗用の装飾物(写真右上)、女踊り用の太鼓・バチ用の装飾物(写真右下)。

【東】すでに製作済みの装飾物

鉦鼓に付ける装飾品。こちらは上記の装飾品とは違った素材で編まれているようです。写真では一つしか写っていませんが、こちらも大量に作っているようです。

【東】鉦鼓用の装飾物。

なんと個人宅に21年前の大綱曳きで使われた流し旗が保管されていました。こちらはタコ糸のようなもので結ばれていますが、今回の大綱曳きでは東西統一して三色の糸で編まれた紐を使うようです。更に流し旗の左右にも、上記写真にも写っている飾りをつける予定です。とても見栄えの良い流し旗が出来上がりそうですね。

【東】21年前に使用された流し旗。

流し旗に使われる紐を編んでいる様子。少し重い板に画鋲で固定して、徐々に伸ばしながら1m程度の長さまで編み込んでいっています。

【東】流し旗用の装飾物を編み込んでいる様子。

私も手伝って6本ほど編み込みましたが、柔らかい素材なのでくるくる回って編み込むのが難しかったです。写真に写っている女性の方々は慣れた様子で楽しくおしゃべりしながら編んでいました。

旗頭に取り付けるムカデ製作

旗頭からぶら下がっている長いムカデ。こちらも新しく作り替えます。写真は東御物に保管されているムカデ。どうやら東西作り方が若干違うようです。当時作られたムカデを参考に、必要になりそうな布を調達して作業が始まります。

【東】東御物に保管されている21年前に作ったムカデ。

ムカデを作るための参考資料。こちらは新しく作った資料でしょうか、長いムカデに使われている色や各部位の形状が描かれています。

【西】ムカデ製作用の設計図。

ムカデの主な部位である胴体と足のパーツの型。これと同じ布の素材を大量に切り出していきます。

【東】ムカデの部位の型。

ムカデの胴体の型を使って水色の布に型を描いていきます。

【東】水色の布にムカデの型を描いている様子。

ムカデには多くの色の布が使われており、それぞれ同様の型を描き込んでいきます。

【東】黄色い布にムカデの型を描いている様子。

胴体や足に使うパーツは非常に大量にあるため、型を描き込んでいくだけでも大変な作業です。

【東】青い布にムカデの型を描いている様子。

布に大量に描き込まれた型に沿って、ハサミを使って切り出していく作業。

【西】型が描かれた布をカットしている様子。

描くのと同様、こちらも大量にあるので人手が必要です。

【西】型が描かれた布をカットしている様子。

お子さんもお手伝い。小さい頃から綱曳きに携わるのもいいですね。将来は経験者として指導する立場になるのではないでしょうか。

【西】型が描かれた布をカットしている様子。

ムカデの足の部分を縫い合わせていく作業。どうやら西のムカデの足は東と違って袋状になっているようです。東西で色数や作り方に若干の違いがあるのも面白いですね。

【西】ムカデの足部分を縫っている様子。

アイロンを当てて形をきれいにしていきます。

【西】ムカデの足部分の布にアイロンを当てている。

みなさん初めてやる作業のようですが、それぞれ協力し合って徐々に形になっていくのがわかるので感心します。このような女性の方々の作業によって、津嘉山大綱曳きがより華やかなものとして演出されていくと考えると、とても重要な役割だと思います。

作業内容の記録と保存

21年ぶりの大綱曳きで経験者がほとんどいないにもかかわらず、女性担当の作業が前回よりもスムーズに進んでいるようです。その裏では、これまでの大綱曳きを体験して、記録・保存している方々がいたからだと聞いています。そのような方々のおかげで伝統がうまく引き継がれているのでしょう。

【西】皆で協力し合いながら装飾物を仕上げていく。

もちろん時代とともに作業工程が簡略化されたり、より素晴らしいものへと改良されたり、色々と変化することが出てくるかもしれませんが、出来る限り伝統を継承できるような流れが出来ればいいなと考えさせられました。

多くの方が作業に参加し体験することで、次の世代に語り継ぐことが出来るかとおもいます。今後も男女とも大綱曳き当日まで作業が続く予定です。多くの方々のご参加・ご協力をお待ちしています。

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